いやそんな気分の時なんかねーよ!!と思われるでしょうが、これが意外とあるんだって。
どうしようもなく救われねぇ〜〜〜!!みたいな時が。
私は根っからのハピエン厨ですが、ごく稀に救いようのない絶望に触れたくなる。
私が身を切って読んでみた本を紹介する。
なるたる(アフタヌーンコミックス 鬼頭莫宏)
星が、その子を導く――。今年小学校6年生の玉依(たまい)シイナが島で出会った、人の認識外のモノたち・乙姫、成竜、そしてホシ丸。シイナの日常が今、ゆっくりと、しかし確実に変わりだす。少年少女が織り成す、地球的スケールの物語が始まった!!
もうこれは超有名、鬱漫画の代表格〜〜
底の見えない謎、倫理観度外視のグロ、謎による恐怖。
最後の最後まで全く意味が分からなくて完結の伏線回収にゾッとした。
個人的に同じ作者の「ぼくらの」よりも鬱っぽくて奥深い。
休み、過疎地の村へ“自然学校”にやってきた少年少女15人。1週間が経ったある日、海辺の洞窟へ探検に入った一同は、その奥にコンピューターを持ち込んで住んでいた謎の男・ココペリと出会う。彼は自分が作ったゲームをやらないかと誘い、宇白可奈を除く14人の中学1年生が同意して契約を結ぶ。半信半疑で宿舎に戻った一同だったが、その日の夕刻、大きな物音と共に巨大ロボットが現れて…
「ぼくらの」はどちらかと言うと人間関係にフォーカスされている感じ。
人間関係の中にある陰鬱さというか、こどもたちの過去と大人との関わり、最後の決別までがこと細やかに描かれているのでエログロ要素は少なめ。
こちらも伏線回収が深すぎるけど、内容的に確実な「死」が分かっている分見ていて楽だった(比較的)
なるたるはその点「えっ今死ぬの??」が多い。本当に容赦ない。キミたち何が敵か味方かわからないのにはっちゃけすぎじゃない???ほんとやめな〜〜〜
登場人物の年齢層が低め(小学生〜中学生)なのに理解し難い性癖とか人間関係がぐちゃぐちゃすぎて、読んでてちゃんと具合が悪くなる。
男女のなかでもちろん恋愛の話もあるわけだけど、「そんなに一筋縄でいかんもんかね〜〜🙈」と思うくらいしんどい。これは後々クライマックスまで引っ張られる。
かなり乱暴にカテゴライズするなら、世界線的にはエヴァみたいな「人類の破壊と再構築」「得体の知れないものによる統治」みたいな。
グロさはなるたるの方が上かなぁ…
とにかく最初から最後まで「???」という憶測でのみ話が進んでいくので最後の最後で「やられた〜〜〜〜〜〜」となること請け合い。
考察サイトの多さがなるたるの重厚さを物語っていると思う。
エロもあるけど匂わせシーンぐらい。でもちゃんとグロの場面に直結しているのが流石。
これは「人類は終わったほうがいい」と思うときに見た方がいい。
ディザインズ(アフタヌーンコミックス 五十嵐大介)
頭は人間、体は動物のキャラクターが登場するSFストーリー。最初からほとんど解説がないので当分「???」と置いてけぼりになる。
正直読み終わって数年経つが何回読み直しても「???」となる。
正直ストーリーが分かっていなくても伝わってくる画風を超越した残酷さがストーリーから滲み出てくるのを感じて終始ゾッとする。
グロさの根底にあるのが「人間としての倫理観」なのに、そもそも人間と動物という生物に垣根があるのか?という進化論で訳がわからなくなる。
こちらも乱暴にカテゴライズするならガンダムのニュータイプ。ニュータイプを人間と動物を掛け合わせて最強にしヨッ みたいな…
(トレス)
空間、挙動、感情、自分以外の全てがわかるってこわくね??
ヒトと動物のいいとこ取りというには倫理観が欠落している、でもそもそも倫理観とは?誰が裁くのか??
HAと創造したヒトと国が絡んだ生物的SF。生命とは?を考えさせられる。
生物の描写が結構リアルなので苦手な方はご注意。
動物や虫が痛めつけられるのがツライ方は絶対読まない方がいい。
宝石の国(アフタヌーンコミックス 市川春子)
今から遠い未来、宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。
こんな美しい表紙で鬱なことある〜〜〜〜???
>>ある〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!
連載開始から約10年、美しくも悲しい物語が終止符を打ちました。
これは一気読みしないとツライ!!!眉目秀麗なキャラたちが大変なことになるから!!!
市川さんは漫画『宝石の国』を連載中。仏教経典「無量寿経」の「浄土は宝石でできている」という一文に、あらゆるものが救われる世界でも、宝石は救われず装飾になるのかと思ったのが創作のきっかけだったそうです。声明公演のコンセプト「荘厳(しょうごん)の調べ」に通ずる所がありお願いしました。
— 国立劇場 (@nt_tokyo) 2017年7月5日
著者の市川春子先生は仏教に明るいこともありその教えが随所に滲んでいますが、この『宝石は救われずに装飾品になる』という着眼点が美しすぎる。
作品を通してひしひしと感じるのは「世の中報われないことばっかりすぎる〜〜」ということ。
作品を読み進めながら登場人物たちが報われる瞬間を今か今かと待ち望んでいる状態。ツライって。オタクは全員の幸せを望んでいるんだよ???
宝石の擬人化(というか概念)という少し特殊なストーリーですが、キャラクターにそれぞれ個性があってかわいい。没入感がすごい。その分絶望も強い。
主人公のフォスフォフィライトは宝石たちの中でも脆く、戦闘も勉強もダメダメで…空虚な薄い孤独を抱えながら自分の使命を全うする健気さが悲しい。
序盤は宝石たちがキャッキャしているだけ?と思いきや、途中からの不穏な空気がすごい。絶望が重すぎる。
本当に儚くて脆い存在が背負うには重くて暗すぎる内容に、読み終わった後の虚無感がすごい。
想像できない程の永い絶望の先にあるものが見えない恐怖。それでも希望を信じてがむしゃらに闘う宝石たち。
最後は自分のちっぽけさにため息ついちゃった…
メリバ好きなら最高。推しキャラは作らないほうがいい。
陰鬱とした考察をしたいときに読んで欲しい。
奇しくも3つともアフタヌーンコミックスでした。
鬱・グロ系を読むタイミングって難しいと思うんですけど、私は「鬱っぽいことを考えてこれ以上下がり切らないぐらい落ち込みたい」という時に読みます。
他人が作った作品は他者ではコントロールできないというメリットがあります。
筆者のストーリー内容に対して、理解できないこととか、受け止めきれないこととか、思い通りにならない歯痒さが絶望となり、何も考えられなくなるくらい落ち込む。
落ち込んだら後は這い上がるだけなので、うじうじするくらいならと読み漁ることが多いです。
逆に元気な時は鬱っぽい方に引っ張られてしまうので絶対読みません。というか読めない。
皆さんも読むタイミングだけ注意して、ぜひ読んでみてネ!