一番胸糞悪い本
ずっと気になっていた奇書「家畜人ヤプー」、江川達也漫画が楽天koboで一冊99円だったのでまとめ買いしました。
内容はウィキペディアで軽く予習しており、これは絶対活字では理解できないと思っていたので漫画ならラッキ~!と思った数分後、めcccycっちゃcっ後悔した。
あとこれはエログロではない。グロス〇トロである。
漫画版は未完のため、どんな内容か気になる方にはいいと思う。
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日本人が「ヤプー」と呼ばれ、白人の家畜にされている二千年後の未来に彷徨いこんだ麟一郎と恋人クララが見たのは__。三島由紀夫、澁澤龍彦らが絶賛した「戦後最大の奇書」最終決定版。
「ぼくのかんがえたさいきょうのへんたい」最終決定版
安野モヨコ先生著「鼻下長紳士回顧録」の冒頭に印象的な一説がある。
「変態とは 目を閉じて花びんの形を 両手で確かめるように 自分の欲望の輪郭をなぞり その正確な形を つきとめた人達のことである」
「変態とは
— 安野モヨコ (@anno_moyoco) 2020年12月2日
目を閉じて花びんの形を
両手で確かめるように
自分の欲望の輪郭をなぞり
その正確な形を
つきとめた人達のことである」
そんな変態が集う娼館の物語
『鼻下長紳士回顧録』
めくるめく世界を
仙台文学館でお楽しみ頂けけます。#安野モヨコ展 #ANNORMAL
スタッフ pic.twitter.com/XNfYWMhcsL
これを見た瞬間なるほど納得と腑に落ちると同時に、変態という言葉の軽薄さに気が付いた。
スケベだとかマニアだとか、陳腐な言葉で表現される前にその人の欲望の忠実さと理想を追い求める姿勢に一度敬意を示すべきではないか。
「家畜人ヤプー」はそんな欲望と妄想を尋常ではない活字量(脚注含む)で表しきった大作と言える。
ただしめちゃくちゃ気が滅入る。
奇書として有名であり発刊からも時間が経過しているのでうすらほんのりネタバレを交えていくが、徹底的な階級制度に加え汚物愛好とSMがすごい。
白人を神に近い存在として称え、彼らを世話するのが黒人(半人間)、家畜同様で白人のために姿形を変えて奉仕するのが日本人(ヤプー)である。
これはもう「差別」ではなく「区別」であり、白人の彼らは遺伝子レベルで組み込まれたヒエラルキーに乗っ取っているだけなので罪悪感も倫理観もない。
それが当然である世界線に急遽飛び込むことになった日本人男性の麟一郎と婚約者のドイツ人クララの話だが、お察しの通り白人とヤプーの関係である。
なんといっても汚物の話が長い。
白人の排泄物は黒人にとって美酒であり、ヤプーにとっての褒美になる。
この表現のグロテスクさは活字とは伝わり方が異なると思うけれど、江川達也やりすぎ~~~~~というくらい書き込まれている。もしも私に年頃の子供が近くにいたらば有害図書のポストに投函していたかもしれない。
ここまで書き込む必要あったのかねと本当に思う。読むのツライ。何度かあきらめそうになった。活字よりも逆に漫画版の方が生々しいリアリティが生まれてしまっているのが裏目にでたことを本当に後悔した。
それでもこの先にある救いを求めてページをめくるが一向に救われない。ヤプーと呼ばれる麟一郎は我々と同じ日本人である以上同情というか感情移入というか、とにかくあまりにも希望が見えないので苦しすぎる。メイドインアビスみたい。
それでもリコたちは自分の意志でアビスに臨んだわけだしなぁ~と考えるくらい救われない。奇書というかナニコレ助けて。
これ漫画版が完結したら、私の鬱漫画ランキング一位に君臨すること間違いない。
妄想力の具現化力は変態の成せる業か
そして徹底的にゾッとおぞましくなるのが、圧倒的な文字と脚注の量である。
漫画で描き切るにも多くのページが必要になるため、デスノートの終盤以上に文字が多い。終盤くらいではなく終盤以上に多い。
私は結末まで読み切っていないので判断できないが「この設定いる??」ということまで徹底的に細かく書き込まれている。小学生が自由ノートに書き込む「ぼくのかんがえたさいきょうのせんし」ぐらいひどい。
この物語の底知れない恐怖はこの徹底的なほど細部に至るまで作りこまれた矛盾を許さない設定があると思う。
以前なにかで、ドラマの現場スタッフが薬棚を用意する際、中身を空のままにしていたらベテランスタッフに大目玉を食らったという話を聞いた。中身を入れて実際に薬棚としての機能を持っていなければ価値がないということだそうだ。
傍から見ればわからないことでも、創造する形に対する熱量が重要である。引き出しを開けるか否かは重要な問題ではないのだ。
その話を否応なしに思い出させる、鬱陶しいしつこいほどの設定。これが活字になると思うと絶対に読めない気がするし、逆に活字による想像力を読み手に委ねる効果の方がいいのかもしれない。
これが登場人物の性癖ではなく『生活』のため尚たちが悪い。物語の主軸に肉付けをしている脚注がほとんどを占めており、本当にストーリーが進まない。
いやもうええて、という読者を置き去りにつらつらと解説が新しい文字を含めて進んでいくのだからもうたまらない。いい加減にしろと何度かキレた。
だが、だからこそこの物語がようやっと進んでいくと言っても過言ではないのも頷ける。この細やかな肉付けにより我々読者は一層戦慄と嫌悪を抱き、また次また次とページを捲る原動力になっているとすら思う。めちゃくちゃツライけど。
本当に鬱になりたいときにいいかもしれない
内容は正直理解しがたいし、なんというか生理的にも精神的にもめちゃくちゃきつ過ぎる進み方をする。
それでもこの先が知りたくなる魅力はある。(この話がどうまとまるかという好奇心に近い)
あまり軽率にはおすすめしがたいが、漫画版なら比較的読みやすいと思うので気になっている方は挑戦してみてもいいと思う。
私は原作を読もうか迷って3秒であきらめた。