今週のお題「夏休みの宿題」
期待に胸膨らむ夏休みがはじまりました。今日は宿題の中でも三大鬼門の一つ、読書感想文の書き方について説明いたします。ちなみに三大鬼門は自由研究・読書感想文・毎日の日記です。私の文章についての説明は別エントリをご覧ください。
読書感想文は大人に媚びなさい
読書感想文というのは、読んだ本に対する感想をまとめる行為です。その中で一番大事なのは、本のチョイスでも書く内容でもなく、大人に媚びることです。
察しのいいキッズたちならおわかりでしょうが、提出した読書感想文を読むのは先生たちです。夏休みの宿題は二学期の成績に響きますから、つまりここでターゲットにすべきは先生一択。作文を書くのが大好き!読書感想文が楽しみで仕方ない!というキッズたちは以下読まなくて大丈夫です。もう読書感想文なんか大嫌い、全然書けないよ!というキッズたち、以下をしっかり読んで実践してみましょう。
本選び
なんでもいいです。個人的には一番いい賞を頂けたときの一冊が「ダレン・シャン」なので、ちょっとだけおすすめはさせてほしい。ハリー・ポッターとほぼ同時期の出版だったのであまり日の目を見なかった作品ですが、学生でも理解しやすくバンパイアになった少年が旅をするという独特な世界観なので読んでみてほしい。
あらすじだけで泣いちゃった。次から詳しく書き方を説明します。今回は一般的な読書感想文規定の400字詰作文用紙3枚(1200文字以内)を目指して、小学生くらいのイメージでいきます。
ざっくりと
- 1枚目 タイトル~本のあらすじ(①~②)
- 2枚目 自分の感想(メイン)(③)
- 3枚目 まとめ(④)
という感じで、4つのステップに分けて説明します。
①なぜこの本を選んだか
まず題名と名前を書いたら、なぜこの本を選んだかを書きます。これはなんでもいいです。キツネが好きでごんの姿に惹かれたからとか、友達におすすめされたからとか。まずはこの本へのとっかかりを明記しておきましょう。
私がこの本を選んだ理由は、母がこの本を好きだからです。弟がいたずらをするたびに母が「ごんみたいなことしていると、いつか痛い目にあうよ」とよく言うので、「ごんって一体なにをしたのだろう」と気になって読んでみることにしました。(112字)
この時、真偽は関係ないです。私の母は別にこの作品に強い興味があるわけではないし、身内に弟はいません。スパイは嘘の中に少量の真実を混ぜることで怪しまれにくくなります。大人に媚びると決めたら多少のフェイクがいいスパイスになるってワケ。
もちろん本当に惹かれた理由があるならそれを書きましょう。
②簡単なあらすじ
これは「私はこの作品をちゃんと読んでいますよ」というアピールであり、次の③につながる布石です。もし次の③で書きたいことがたくさんあれば省いても大丈夫。
ひとりぼっちのキツネのごんは、兵十が捕まえていたウナギを盗み、それは兵十の母親が欲しがっていたものと知って後悔します。それからごんは反省して兵十に毎日贈りものをしていきますが、最後は悲しい結末が待っていました。(105字)
ここでダラダラと書いてしまうと文字数を稼ごうという魂胆が垣間見えてしまうので極力少なくしましょう。結末の詳細まで書く必要はありません。主要な登場人物と、その関係性がわかる程度で大丈夫。そもそも先生にとって大事なのはどんな本を読んだかよりも、読んだ感想とそのまとめ方。先生に対して内容の説明をこんこんとする必要はありません。
③登場人物と感情をピックアップして「私」を登場させる
これがメイン部分になります。登場人物のだれかに感情移入して、「私ならこうする・こうだった」という比較をすることで、「この作品に感銘を受けた」「作品に夢中になった」と持っていきます。
詳しい書き方は、次のA~Cを参考にしてみてください。
この本を読んで、ごんは兵十のためにいいことをしていたのに、なんで最後には命を落としてしまうのだろうと悲しくなりました。でも、ごんは死にそうな母親のためにウナギを捕まえていた兵十に悪いことをしています。ごんはキツネだから、私たちのように「ごめんね」とあやまることはできません。(137字)
A.作品内でもしもの仮定の話をする
もし、ごんが兵十に「ごめんね」と言えていたら、兵十はごんのことを許せていたのかなと考えました。(47字)
B.「私が〇〇の立場だったら」を考える
私が兵十だったら、せっかく捕まえたウナギを盗まれたのに謝られても許せないと思います。大好きな母親のために頑張って捕まえたのに、自分の知らないキツネに盗まれるなんて、考えただけでも腹が立ちます。でも、ごんはその後に贈りものをたくさんしてくれました。今さら贈りものをしてくれても悲しい気持ちのままですが、本当に謝りたい気持ちは伝わってくるので、仲直りできるかもしれません。(184字)
C.過去の事案を持ち出す
私は小学校2年生の時に大事なお友達にいじわるをして、きちんと謝ることができなかったことがあります。本当は仲直りしたいのに、はずかしくて言えませんでした。ごんと違って言葉で伝えることができるのに、謝ることができなくてとても後悔しています。(118字)
一番つなげやすいのはA→Bのコンボです。本の内容がおもしろくなくても、もしこうだったら…と仮定の話をしちゃいましょう。特に「私が(登場人物)だったら」と当事者意識を持つことで、物語への没入感をアピールできます。これは私なら「怖くてできない→主人公はすごい」、「もっとこうすればいいのでは→自分の考えた作品の結末」など、ポジティブでもネガティブでも関係ありません。とにかく物語を私事にすることで、作品に対しての考察っぽくします。
この③全体で486文字。作文用紙1枚超くらい。
④まとめ
最後は「この本を得て今後どうしようと感じたか」をまとめます。ここで大事なのは、この本で得た学びを今後どう生かすのかを書くことで本への感謝を表現します。大事なまとめなので、できれば書き始める前にここだけ決めておきましょう。
ごんは兵十の大事なものを盗む、というとても悪いことをしました。でも、きちんと反省して、ごんなりに「ごめんね」の気持ちを伝えようとしていて、私も見習いたいと思いました。ごめんねと言葉で伝えることも大事ですが、また同じ悪いことをしないように、毎日注意することも大事です。私は忘れっぽく、人に迷惑をかけても忘れてしまうことがあるので、この本を読んでからごんのように心から反省して行動する気持ちをマネしてみるようにしました。そして、大事なお友達や家族ともっと仲良くできるよう、相手の気持ちを考えられる人になりたいと強く思いました。(263字)
ここでも先の③で使った、登場人物に感情移入をするテクニックが使えます。ベストなのは「この本を読んで新しい習慣が身についた」とか、実生活にこの本が影響していることがくれば一気に感想文っぽくなります。
ここまですべてで約970文字。改行を含めればいい感じになるでしょう!
おわり
いかがでしたか?とっても簡単ですね。尚、例題の内容は完全なフィクションで、私自身なにひとつそんな感想は抱いていません。正直に言えば、こんなもん神様だって言われたのに確認もせずに火縄銃を持ち出す兵十が悪いだけじゃねえか言うのが率直な感想ですが、これでは先生ウケしないのでそれっぽくしました。それっぽいでしょ?
一番大事なことは、とにかく書き上げることです。それっぽければ大丈夫。書いていれば作文用紙内で矛盾が生じることもあるので、とりあえずばばっと書いて赤ペンで修正して、最後に清書するくらい一気に勢いでやるのがイイです。
あとありがちなのは、③の感想部分での「~~思います」「~~思いました」の乱用。これはあまり考えていないことがバレるので注意してほしい。「~~です」と言い切る形をしっかり使っていきましょう。
尚、この文章はあまりにもフィクションなので転用しないでね。あくまで参考としてお使いください。
『ごんとごめんねのきもち』 かなス
私がこの本を選んだ理由は、母がこの本を好きだからです。弟がいたずらをするたびに母が「ごんみたいなことしていると、いつか痛い目にあうよ」とよく言うので、「ごんって一体なにをしたのだろう」と気になって読んでみることにしました。
ひとりぼっちのキツネのごんは、兵十が捕まえていたウナギを盗み、それは兵十の母親が欲しがっていたものと知って後悔します。それからごんは反省して兵十に毎日贈りものをしていきますが、最後は悲しい結末が待っていました。
この本を読んで、ごんは兵十のためにいいことをしていたのに、なんで最後には命を落としてしまうのだろうと悲しくなりました。でも、ごんは死にそうな母親のためにウナギを捕まえていた兵十に悪いことをしています。ごんはキツネだから、私たちのように「ごめんね」とあやまることはできません。
もし、ごんが兵十に「ごめんね」と言えていたら、兵十はごんのことを許せていたのかなと考えました。私が兵十だったら、せっかく捕まえたウナギを盗まれたのに謝られても許せないと思います。大好きな母親のために頑張って捕まえたのに、自分の知らないキツネに盗まれるなんて、考えただけでも腹が立ちます。でも、ごんはその後に贈りものをたくさんしてくれました。今さら贈りものをしてくれても悲しい気持ちのままですが、本当に謝りたい気持ちは伝わってくるので、仲直りできるかもしれません。
私は小学校2年生の時に大事なお友達にいじわるをして、きちんと謝ることができなかったことがあります。本当は仲直りしたいのに、はずかしくて言えませんでした。ごんと違って言葉で伝えることができるのに、謝ることができなくてとても後悔しています。
ごんは兵十の大事なものを盗む、というとても悪いことをしました。でも、きちんと反省して、ごんなりに「ごめんね」の気持ちを伝えようとしていて、私も見習いたいと思いました。ごめんねと言葉で伝えることも大事ですが、また同じ悪いことをしないように、毎日注意することも大事です。
私は忘れっぽく、人に迷惑をかけても忘れてしまうことがあるので、この本を読んでからごんのように心から反省して行動する気持ちをマネしてみるようにしました。そして、大事なお友達や家族ともっと仲良くできるよう、相手の気持ちを考えられる人になりたいと強く思いました。
