かなスの巣

後腐れのない日記帳

きのこを炒める。大人になる。魅惑のガーリックきのこ

 何かとタイミングが重なり、あわただしい10月も気が付けばとっくに折り返しを過ぎていた。ふと一息つくとき、のそりの台所仕事を始める。

きのこ おとな味

 多忙になるとどうしても食事が疎かになる。衣・食・住のうち、一番外注しやすいのが食。ご飯だけ炊いてレトルトのカレーだの缶詰だの、ファストフードやお弁当をテイクアウトするだの。栄養とか風情とかそういうことよりもまず空腹を満たすことが最優先になってしまうので、当然後々いろいろなツケが回ってくる。肌荒れとか、パンパンに膨れ上がった腹太鼓とか。

 やっと一息つけたとき、まずは部屋の掃除をする。そして、スーパーに行く。味噌と豆乳しかない冷蔵庫では何も満たされない。

 とにかく野菜が食べたい。元来私は野菜が好きなのだ。日持ちしないという理由で敬遠しがちになっているが、主食の代わりにキャベツの千切りを選びたいくらい好きだ。

 だが、今回の私の目的はきのこ。秋と言えばきのこだ。(厳密にはハウス栽培だろうし関係ないのだろうけど。)お誂え向きに店頭に並ぶお徳用しいたけ、えのき、しめじ、エリンギをカゴに入れる。レタスが1玉180円。安くはないが食べたいので手に取る。

 

 意気揚々ときのこについて語っているが、実はそんなに好きなわけではない。なんとなく、しめじが好きでない。なんとなくすぎて理由はないのだけれど、自分でわざわざ手に取ることはない。が、今回はどうしても作ってみたい料理があった。

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 ていねいな料理の勉強をさせて頂いている、ヒカさんの「ガーリックきのこ」がとんでもなくおいしそうで、作ってみることにした。

 動画の通りにしつこくしつこく炒め、こんがりと焼き目をつける。いままできのこといえば、しいたけやエリンギを素焼きにして塩をぱらっと振るとか、えのきをお味噌汁に入れるとか、そのくらいしかしたことがないので新鮮。

 味はもちろん言うまでもないのだけれど、ニンニクにバターの香りが「すげぇ大人」な気がした。オシャレなイタ飯の香り。普段味わうことのないじっくりと炒めたきのこの風味が、初めて家のキッチンに漂った秋。

 

 動画ではマッシュポテトと合わせているけれど、私はそのまま副菜として、そしてオムレツに入れようと思っている。こういうちょっとした常備菜が冷蔵庫にあるとなんとも頼もしい。

 台所仕事は嫌いではないし、なにより自分で手をかけて作ったものを食べるのは精神衛生上いい気がする。添加物たっぷりの外食も好きだけれど、たまには冷蔵庫とにらめっこして、アレがあったはずなのにないからどうしようと頭を捻る時間も、心身にとって大切な栄養になるのだと思う。

 

 今晩は豆苗と卵を炒めたのと、ガーリックきのこと、昨日作った小松菜とはんぺんを炊いたやつと、レタスのサラダにしようかな。数日前までの喧騒と打って変わっての冷蔵庫がにぎやかさ、なんだかホッとする。

 季節の変わり目でもあるし、食事でゆっくり養生するつもりだ。

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