【日常系鬱漫画】おやすみプンプン 読書感想文【ネタバレなし】

こんにちは。とらちゃんです
気が滅入っている時にこそ鬱系漫画を読む悪癖がある私ですが、今回やっと近代鬱漫画の金字塔「おやすみプンプン」を読了しました。


近代鬱漫画の金字塔「おやすみプンプン」
ある日のこと、プンプンはクラスにやってきた転校生・田中愛子に一目惚れ。彼女から「もうすぐ地球は人の住めない星になる」「別の星に移住しないと人類はメツボーしてしまう」という話を聞いたプンプンは、今日出された「将来の夢」の作文に、「宇宙を研究する人になりたい」と書こうと思い立つ。だが翌朝、プンプンが起きると家の中が大変なことに…?(Amazon紹介文より引用)
「プンプン」の異質性と「よくある話」
「鬱漫画」で検索すると必ずヒットする本作、パッと見た感じとタイトル名からその気配が一切しない不気味さがずっと気になってなって。
主人公であり狂言回しであるプン山プンプン、彼は家庭環境に問題はあれど毎日気丈に振舞うちょっぴりエッチなことにも興味がある年相応の男の子。
そんな彼が田中愛子と言う転校生との出会いにより幼心と男心が狂わされていく生涯、みたいな、言ってしまえばよくある話。
でもこのよくある話って言うのが本当に絶妙なラインで続いて、その中でプンプンの不安定さがリアルな現実との乖離によって浮き彫りになっていく恐怖。
正直途中まで「これが鬱漫画はちょっと言いすぎでは?」と思っていたけれど、最終巻でちゃ~~んとグッタリするぐらいのド鬱をぶち込んでくれるし、「そうはならんやろ」をちゃんと回収してくれる爽快さもあるのがまた気味が悪い。
両親の執着、宗教、異性への期待と不安、都合のいい偶像崇拝など、人が壊れていくにたり得る要素が本当に生々しい。
この辺は「みいちゃんと山田さん」が近いのかもしれない。

身近な「不安」と自意識
本作は、いろいろとトラブルが発生した小学生時代~周囲を観察して馴染もうとする高校生~不安定なフリーター時代まで、とにかく自意識過剰すぎるプンプンの苦悩と共に進む。
でも読者は「自意識過剰だよ」と簡単に言い切ることができない。
なぜならプンプンが抱える、漠然としていながらも必ずそこに「ある」不安が、誰でも一度は通るものだから。
それを道端に転がるゴミのように見て見ぬふりをするのか、環境破壊を悲観して自己意識として持ち続けるのか、の違いだけであって、プンプンは圧倒的に後者だった。
そして時に都合良く前者にもなる。
だからこそ最後の最後まで不安定で儚くも傲慢な振る舞いは続く。
一見プンプンの異常性によって本作が進むと思いがちだけれど、実のところはこの「異常」はただの「出来事」であって、だれにでも起こり得る問題であることに気が付いた時が一番怖かった。
プンプンの環境が一例としてそうだっただけであって。と言うことを忘れて読んではならない。
救いの人は受け止められるのか
プンプンはどちらかと言うと「カワイソウ」なキャラではあるけれど、ちゃんと救いの手を差し伸べてくれる人もいる。
何と言うか、この「なんかご縁があって知り合った人に助けてもらう」あたりも妙にリアルで気持ちが悪くなってくる。
その救いの手をプンプンがどう受け取るか?はぜひ本作を見てほしい。ここもまた自意識と理想のせめぎあいに苦悩する様がプンプンらしく、また人間臭い。
プンプンに関わる人もまたそれぞれの思惑があるあたりも本当に救いがない。
けれど、だからこそ没入して絶望と不安に浸ることができる。どこまで読んでも苦しいのはこのせいだと思う。
総評:日常系鬱漫画として10000点
今まで読んできた鬱漫画「なるたる」や「宝石の国」などは完全にSF・ファンタジー作品。

圧倒的な世界観と規模に気圧されているところが大きかったけれど、プンプンはもう超・日常。「あるある~」がリアルすぎて怖い。
自分にもプンプンみたいな狂気があるかもしれないし、静かな隣人がそうかもしれない。
途中読むのが本当にしんどくなっちゃうけれど、頑張って最後まで読んで欲しい。
今のところ間違いなく私至上極悪のメリバ作品です。

