参加しても不参加でも地獄の会ってな~~んだ?
久々に気心の知れた方たちと酒を酌み交わした。真面目な近況報告から下世話な相談、理想の恋愛について、打開策を欲するわけでもないテーマにあーだこーだと語らい、すっかり白けてきた空の元、あ~~楽しかった~~と解散する。久々に女を全うしていると、少し感動とした。
答え:女子会
女が二人以上揃えば、話す内容は恋バナが鉄板である。この場合、彼氏やパートナーがいるかどうかは問題ではない。最近ときめいた人とか、こういう人と付き合いたいとか。昔話から未来の話まで、さも今起きた事案かのように、熱量と臨場感を持って話すことが重要なのである。
「女子会の下ネタはエグい」とよく言われるが、これは参加者全員がきちんと当事者として、真摯に話をしているからそう聞こえるだけだ。実際のところは彼のイチモツが貧相という真剣な悩みに対し、過去の事案を用いて笑い飛ばすことで浄化させるという、重大かつ神聖な儀式を行っているだけである。
女子同士の話が面白いのは、皆が皆、各々の悩みを赤裸々に話すところにあると思う。間違っても「友だちの話なんだけど…」なんてことは言わない。そんなことを口にしてしまえば、酒の場には二度と誘われないだろう。全員で一人の悩みに向き合って状況確認をし、同情の上で知見を披露しあうことで、「そういう考え方もあるんだ」と意見を吸収する。その内容に安堵し、また何かあればこの子たちに相談しようと思う。
ここで大変重要になるのは、実は誰も解決策を必要としていないことである。間違っても、「いやそれはこうしたらいいじゃん」などと正論をぶつけてはいけない。正論と分かってはいるが、実行できなくて悩んでいる状況を慮った上で発言することが、女子会に参加する最低条件であることを忘れてはならない。正論を投げつける際は「こうしたらいいんだろうけど…難しいよね~~」とフォローの一言を添えるだけで、その後の酒の進み具合はぐっと変わる。忖度とは少し異なるが、「言われて嫌なことを言わない」という幼稚園で学ぶことを生かせばいいだけである。
かくいう私も、20代前半、それこそ「女子会」というワードが流行し始めた時、それがいやでいやでたまらなった。今思えばメンツが悪く、本音を話せないメンバーだったからなのだけど、毎回飽きもせず男の話をする酒に辟易していた。最近オープンしたと言うしゃらくさいフレンチの「女子会コース」より、駅近の大衆酒場が好きな私にとって、まな板みたいな木に乗って出てくるごく少量のチーズほどつまらないものはない。
当時は仕事を辞めるかどうか、地元を離れるかどうかで悩んでいた私にとって、同期の「最近知り合った消防士と勢いでヤっちゃったどうしよう」なんて言われても、こいつは一生涯地元で過ごし、残クレで購入したアルファードの前で撮影した家族写真とともに『地元最強!』と綴った内容をSNSに投稿するのだろうとしか思えなかった。今思えばずいぶんすれた20代前半である。
そんな私にも過去の話をおっぴろげにできる知人ができ、「実は…」と報連相ができるようになった(浮ついた話がないので特段話すことがないのはさておいて)。酒の場と言うことも相まって、別に言うつもりはなかったことをポロリとこぼしてしまい、おやおやこいつぁごきげんさんですね、とまた酒が進んでしまう。話した内容は翌日にはほぼ覚えていないところがまた、次回の女子会開催を切望してしまうのだ。
女子会という言葉は便利だが、一種の呪縛だ。「友だちなんだからなんでも話せるよね?」という、無言の同調圧力を合法化する会。その実態は、他の縄張りの女子会における話題作りのための情報収集の場であることは忘れてはならない。自身がメス特有の話をしている時、また相手も他所でメス特有の話をしている。参加できなかったとしても、その場にいない人間についてあぁらしいこうらしいよと憶測の話は少なからずされているのだろうから、「今日参加できなかったケド、アタシ何か悪口言われていないかな…」とヤキモキするまでがワンセットでお楽しみいただくべきだ。正義感の強い誰かが「ちょっと陰口はやめなー」と言い出したとしても、その言葉の時効は持って3分である。
たまに我々の心を躍らす、時限式のキャリーオーバーが発生する。「来週イイ感じの人とご飯行ってくるから報告するね」という、爆弾になるかゼクシィへの秒読みになるか、大変危険にして魅惑的なものである。女子会のいいところは不慮の爆発でもゼクシィの付録でも、きちんと処理して丁寧に扱うところにある。「ちょっと聞いて!」のニュアンスで大まかに予測はできるものの、デート当日の相手の服装からお店から、支払いからバイバイまで、事細かに聞きたくなるのは気心知れた大事な友人だからである。決して野次馬としてブイブイ言っているわけではない。戦果報告をする方も少なからずの傷を負っている。それをくみ取り、時に全員で塩を撒き、時にヤケ酒に付き合う。ウマが合う人たちとの女子会はめちゃくちゃに楽しい、ということはしっかりと明記しておきたい。
さて、参加後の地獄というのはお察しの通り、いつもの二日酔いである。今回はそんなに飲んでいなかったから、ちょい頭痛ぐらいで終わったが、休日をすべて寝て過ごした。いちいちラインで「昨日はありがとー^^」なんて連絡をしあわないのがまたイイ。楽しい飲み会、しかもそれが女子だけだとことさら面白くなるから、大人になってよかったと思った。
そろそろ私も「実はちょっと気になってる人がいて…」なんて、浮ついた話を頬を染めつつ話したいものである。