【読書感想文】近畿地方のある場所について【かきもありますよ】

こんにちは。読書の時間だよ
実はホラー系苦手なんす
先日背筋さんの「口に関するアンケート」を読んで、鳥肌が立つほどの恐怖と興奮を覚えたワタクシ。

とは言いつつ、ワタクシ、本当にホラーが苦手なんですよ。
大の太文字にしておかないといけないんですが、ホラー系、特にジャンプスケア(急に驚かす系の演出)が心臓引きちぎれそうなほどにこわくて。
ぐんぴぃさんのオモシロ動画ですら全部見れなかった・・・
映画「8番出口」ですっかりトラウマになって以来、おっかなびっくり生活しています。

そんな私が「口に関するアンケート」を買ってしまったのは無知がゆえ、半分事故のようなものだった。著者の背筋さんが話題作「近畿地方のある場所について」の生みの親であることを知らずに手に取ってしまったのがはじまりである。
これがはじめてのホラー(モキュメンタリー)小説だったわけだけど、その魅力にすっかりハマって、もっと読んでみたい!とおっかなびっくり、話題作にも手を伸ばした次第である。
近畿地方のある場所について(背筋)

物語はモキュメンタリー(フィクションだが実際に起きた出来事かのような口ぶりで進行する)で小難しいことはなく、サクサクと読める。これは「口に関するアンケート」でも同じだった。
「近畿地方のある場所」で発生する怪奇現象について調べていたオカルト雑紙編集者・小沢が姿を消したため、友人である筆者が情報提供をしてほしい、と呼びかけることから物語がはじまる。そのために「近畿地方のある場所」に関する様々な情報を公開していくというのが本作の大まかな流れである。
その情報とは「近畿地方のある場所」に関する雑紙記事、インタビュー、投書、ネットのチャットスレッドなど様々な方面から集めており、目次もなく、それぞれ異なる発生場所と時間を認識することが難しく、乱雑に投げ出された資料をランダムに一つずつ目を通している感覚になる。
その難しさを助長しているのが本作でスポットライトが当たる「●●●●●」(地名)の田舎らしい閉鎖的な、認識を歪められた環境にある。
土地特有の風土、風習、畏怖らは歴史の流れと共に姿を変えながらその地に根付き文化となる。まるでその土地に立ち入ることを拒むかのような怪奇現象、さてそれはいったい、一過性のオカルトなのか、人知を超えた存在なのか。
ホラー怖い民に一つだけ伝えておくと、ちょっとだけ心臓に悪い挿絵が2カ所だけある。158ページ、217ページ。(単行本なので文庫版は違うかも)とんでもなく怖い!ってことはないけれど、暗がりでひとりで読んでいたらちょっと心臓痛い。あとは文章ばっかりだったよ!
一回読み終わった感想として、正直そこまで恐怖は感じなかった。
度々比較して申し訳ないが「口に関するアンケート」の一瞬で世界を変えてしまうインパクトを思うと、じわりじわりと答えがにじみ出されていた本作はなんだか物足りなく感じてしまう。なんとなく結末も読めたしね。
ただ、物理的なわかりやすい恐怖を凌駕する、もっと人間の心の根底にある禍々しいおぞましさ(人はこれを「呪い」と表現するのかもしれない)をじっとりと擦りつけられているような不快感がつきまとう。
得体の知れないものに怯える感情・胸の高鳴りより、その場にたちこめる空気、日常が変わっていく喪失、点と点が線になった瞬間の緊張・・・目に見えないものを「恐怖」として表す流れが素晴らしい。
「はいコレ今めっちゃ怖いところですよ!」とはやし立てるのではなく、にじり寄る恐怖がいつのまにか背中にまで来ているような。気がついたら「オカルト」や「怪奇現象」といった陳腐な言葉では間に合わない現象に飲み込まれている。心理的には自分も「●●●●●」に引きずり込まれているようだ。
これはあと数回読み直さないと、著者が狙っているような恐怖にたどり着けないと思う。ホラー小説に読み慣れていないとちょっと難しい。
かといってもう一度読み直しても「これが伏線だったのか!」ということもそんなになく(情報提供媒体がそれぞれ違うから余計にわかりづらい)、ある程度作中で伏線の解説をしてくれるからそこは本当にありがたい。助かる。
そんなわけでこれからもう一度読み直そうと思う。みなさんもぜひ読んでみてほしい。
ところでみなさん、お山にきませんか。
かきもありますよ。


