かなスの巣

後腐れのない日記帳

花の色はうつりにけりな/四季折々の

 夏は苦手だ。けど、許せる点が3つだけある。洗濯物がすぐに乾くこと、汗をかいた後のシャワーの爽快感、そして夏の花が美しいこと。

夏の花は力強い

 四季の変化を感じるには植物がいい。桜が咲けば新しい生活に胸が躍り、金木犀が香れば少しばかりの切なさを感じる。日照時間と気温が直結する植物は滅多なことがない限り嘘をつかない。

 夏は力強い植物が多くて好きだ。天に向かってすっと伸びるグラジオラスやタチアオイ、毎日太陽とともに大輪を輝かせるハイビスカス、庭を彩るインパチェンスペチュニアなど。花屋にあるような立派なものも素敵だけれど、いつ植えたかわからないような、路地植えで毎年勝手に咲く植物に惹かれる。

 原色に近い目の覚めるようなパキッとした色もいい。クレマチスストレリチアブーゲンビリア、ヒマワリ。品種によって異なる色味と夏の空があれば一気に風情になる。浴衣の柄で植物を楽しめるのもまた一興だ。

 

 夏の花でとりわけ好きなのはサルスベリ。どの植物よりも、炎天下でちりりと開く花を見るたびに「盛夏だなぁ」と感嘆する。近所に街路樹として点々と植えているところがあって、暑くて汗びっしょりで早く家に帰りたい中、その通りは少し遠回りでも寄りたくなるくらい美しい。剪定されすぎて花は幾分もないのだけれど、つるっとした幹もまた涼しげで、情熱的な濃いピンクとの対比が面白いなと思う。

 実家近くの親戚の家に立派なサルスベリがある。めずらしい白~薄紅で、母が分けてもらっていつか植えてやりたいと意気込んでいるが、植物に興味がない父に一蹴されているようだ。

 近所のマンションの一角に、毎年遠慮なく猛々しい程に咲くタチアオイがいる。冬はあられもないほどバッサリと刈り落とされているのに、暑くなってくるとむくむくと新緑を輝かせ始める。管理人さんが水や肥料をあげているのかわからないのに無法地帯になるのもまた夏の盛り、まさに盛夏で風情がある。落ちた花の掃除やメンテナンスを考えるとおそらく処分するにできないところだと思うが、もう少し楽しませてもらいたい。

 

 ルリマツリサルスベリデュランタタカラヅカが一緒に咲く場所を見つけた。それぞれが好き勝手にモサモサと枝を伸ばして咲いているのに、どこか調和があって美しいのが植物の素晴らしいところだと思う。

 デュランタの品種の一つである「タカラヅカ」は、花弁に白い縁取りが入った姿が宝塚歌劇団の娘役が正装で着用する袴姿に似ていることから名付けられたらしい。また香りからスミレをイメージし、スミレならば宝塚という連想からきているという説もあるとか。いずれにしても凛とした清らかでたおやかな姿が宝塚歌劇団を思わせるのは納得である。ただ、花言葉に「ひとりよがり」ともある。トップスターたちの葛藤が垣間見えるようで、これもまた植物の楽しみ方の一つだ。

 

 二十四節季では大暑を超え、もうすぐ8月7日の立秋が近い。秋と言えどまだまだ暑さは終わらないから、実感できるのは10月ぐらいだろうか。秋は秋の七草をはじめ、どこかさみしく儚げな色味の花々が待っている。正直なところ、秋の植物は謙虚で奥ゆかしいものばかりであまり惹かれない。和らぎ始めた暑さの中で感じる一吹きの風の中でこそ美しさを発揮するのだろう。堪能できるまで少々時間がかかりそうだ。