夏になると、厳密には夏風邪をひくと思い出す歌がある。
シドの夏恋。
「見た目から入る恋なんて 夏風邪の次に性質が悪い
散々な前の一件で 十分懲りたんじゃなかった?」
友人の親身をかわすほど恋に盲目になるのが夏の恋。寝付けないほどに恋焦がれ、もどかしい彼の「好き」になるよう奮闘する。打ち上げ花火と夏の恋人たち。なかなか粋じゃないか。
今私ののどは24時間稼働のエアコンによりガサガサに荒れ切っているのだけれど、毎年恒例のことだし、この曲を思い出すのももう10年以上のイベントになる。当時大人気だったギャル(というかキャバ嬢?)向けの伝説的ファッション誌『小悪魔ageha』で桜井莉菜さんの特集ページにあったのがこの歌詞だった。どんなページだったかは覚えていないけれど、シドを知るきっかけになり、大ファンになるには充分すぎるワンフレーズ。
最近、知人二人が立て続けに失恋している。単なるタイミングだろうけれど、なんというか、やっぱりと言うべきか、夏は恋の季節なのだろうか。みんな太陽とTUBEに感化されてしまうのか。
失恋の経緯とかそういうのは詳しく聞いていないけれど、フランスに「別れは小さな死」とことわざがあるくらいなのだから心中お察しいたすほかない。この「別れは小さな死」という言葉、今まで「小さな死ぐらい悲しい」と言うことだと思っていたけれど、「別れてしまった人と一緒に築き上げた自分自身の一部が死ぬ」ということらしい。わかるようなわからないような、最近失恋どころか恋愛もしていない身ではいまいちピンとこない。ここで「確かに私も、」とエッジの効いた小話の一つでもあればいいのだけれど、これは今後の人生経験に委ねることにする。
「夏風邪の次に性質が悪い」とは得てしてうまく言ったものだと思う。夏風邪なんてなりたくて罹るわけではないし、朝起きて「ん?ちょっとおかしい…」と無意識のうちに体を蝕んでいるのが夏風邪。寒暖差に弱い私は毎年まんまと罹ってしまうのだけれど、病院に行くほどではないしと毎年そのままにして、なんとなく治った頃に秋になりまた体調を崩す。これでは失恋を学ばない、馬鹿な女みたいではないか。失恋はさておき馬鹿な女であることは違わないのだけれど、このいつのまにか罹って、グズグズしているうちに治って忘れた頃にまた次の、というあたり、いつの時代も恋の皮肉は変わらないらしい。
恋愛の話はさておき、夏風邪でのどの調子がおかしい人が私を含め周りに多くいる。冬だったらマスクをつけたまま寝ることもできるのだけど、さすがにそうもいかなそうだし、持ち前の喘息と相まってよくない咳にもなってきた。
最近人と話すことが多いから仕方がない、数日ゆっくりすればよくなるのも毎年のこと。失恋と一緒、時間でしか癒せない傷もあるのだ。
