かなスの巣

後腐れのない日記帳

いちばんすきな曲/心の鳴る音楽

 先日知人と「一番好きな曲はなにか」という話になった。皆がそれぞれアーティストや曲名を挙げていく中、いまいちピンとこなくてモニョモニョしている私だった。

 私は音楽を聴かない。ロックなんか聞かないどころではない、率直に言えば興味がない。すきなアーティストはいるけれどシングルが発売されるたびに買いに走ることもないし、常に耳に音楽が流れていることもない。No Music,別にこまらん である。だから、好きなものを問われてもどうしても昔の思い出から選出することになってしまう。

 そもそも周りがガチャガチャしているのがあまり好きではないから、ふとした時にイヤホンで音楽を聴くこともない。人ごみの雑踏は電源の入っていないイヤホンを耳に差し込むだけで簡易ノイズキャンセルとして使っている。

 それでもスマホが普及する前はiPodで音楽を聴いていたと思う。学生時代はV系が好きだったからムック、ガゼット、ナイトメア。そのあと音楽好きの友人からデータが残ったいらないiPodをもらって、車に接続して運転中に聞いていた。そこでSiMや星野源10-FEETなどロックというか、フェスに登場するようなメンツを知った。

衝撃だったONE OK ROCK

 特にワンオクは好きで結構聞いていた。タイミングもあったのだろう。当時23歳で今まで働いた職場にこのまま残るか、辞めて新天地に向かうか、躁鬱のような日を過ごしていた。そんな時車通勤中にずっと垂れ流していたのがワンオクのアルバムだったが、ふと耳に入った歌詞が今後自分の背中を押すことになる。

そんな理想を僕は思い描くたび
強くならなきゃとまた今日の僕を脱ぎ捨てる
 
くだらない憶側に前倣はまず置いといて
しばられずできるコト一つ一つ組み立てていく
それからだその先は誰があーだこーだ言ったって
やれるのは己だけ自分自身を信じてみるよ!


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 最初歌詞の内容に気が付いた時は「音楽特有の無責任さだな」とあまりにも卑屈な感想だったが、それでも、何かにすがりたい気持ちだったのだと思う、気が付くと『CONVINCING』を繰り返し聞いていた。

 当時、23の小娘が将来安泰の企業を辞めるなんて!終身雇用が当たり前だ!という昔ながらの因習に周囲から責められ苛まれていた私に「くだらない憶測に前ならえは置いといて」が、ふとはっと心に刺さった。確かにそうだ。自分のことなのになんで他人の意見に従っているんだ、と。結果職場は辞めて半家出同然で上京したが、この曲に出会っていなければ今の私はない。それくらい励ましてくれたし、背中を押してくれた一曲。

 ただ、これが一番好きな曲かと問われるとそれは少し違う。これは私の精神を支えてくれた曲なので、ジャンルとしては「尊(とうとい)」だ。エキシビジョンとでも言うべきだろう。「好き」という陳腐なことばではなく、これからの人生もふとした時に「くだらない憶測に前ならえは置いといて しばられずできるコト一つ一つ組み立てていく」という言葉に叱咤激励されるのだと思う。

衝撃はロックにある

 他のアーティストを出すとBOØWYもショッキングだった。カリスマが揃う圧倒的な実力と時代を魅了させた存在感。リアタイで見ていたら布袋さんのおっかけをしていたことだろう。最近だとキュウソネコカミに感動した。ゴールデンボンバーも同じく、音楽にメロディー以外のエンタメをぶち込まれると私は弱い。ちなみにだが、私が今までに行ったことがあるライブはJAM Project(元カレに誘われて)とゴールデンボンバー(姉に誘われて)の二回のみだ。当然ライブにも興味はなかったが、帰り道のふわふわした高揚感は結構覚えている。


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 その中でも好きな曲は、と核心を突かれたら、ガゼットのRegretなのかもしれない。YouTubeに公式動画がないので引用しないが気になる方は検索してほしい。当時のV系のほの暗い陰鬱とした感じが最高で当時文字通り永遠に聞いていた。

すきなものは思い出の中にある

 ここまでご一読いただいて察しの言い方であれば、私が毎週Mステに登場するようなアーティストに興味がないことがお分かりいただけるかもしれない。最近のアーティストって入れ替わりが激しいし、鮮烈なデビュー曲を飾っても二曲目が振るわないことなんてザラで、そうこうしている間に別のアーティストが輝き始める。なんとも難しい世の中だ。

 世代的には宇多田ヒカルとか浜崎あゆみとかが当てはまるのだけど、当時からひねくれて逆張りだった私はほとんど手をつけていない。まさかそのツケが20年後にくるとは思っていなかった。

 結局、「好きな曲は?」と聞かれたときに胸を張って言えるものがないのは中々悲しいものだ。ワンオクについてはもうリスペクトの域なので、対面だとよっぽど信頼している人にしか言わない。人生コスメならぬ人生音楽。だから、「好き」という陳腐な安っぽい言葉でまとめてはいけない。

 とはいえ人間に擬態して生きている以上、ネタとして「この曲は!」を用意しておくべきだ。今までのiPodの再生回数が一番多いのは何だろう。とりあえず今のところ、モーニング娘。モーニングコーヒーあたりにしておこうと思う。刺さる人には刺さるだろうし、じゃあ歌ってよと言われてもギリいける。結局ウケを狙うあたり本当に小根っこが腐っているとほとほと実感するが、いつか本当の「好きな曲」が登場するまでその座に居座ってもらおうと思う。

↓特技についてネタで考える日

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